Wikipediaでは、ピレネーの麓にある山岳リゾートであり、巡礼ルートにある宿場町でもあるとのこと。ならば、妻籠宿のようなイメージを勝手に思っていたが、それよりはるかに開けた、旧市街の周りはモダンなアパートが並ぶ地方都市であった。
しかしながら、旧市街の中は中世の趣そのまま。細い石畳の路地を思うままに彷徨い、小さなバルを見つけてはワインをいっぱい。崩れかけた教会ものぞいてみる。旧市街にとったホテルはいかにもスペインの安宿といったたたずまいだが、掃除は行き届き清潔で快適。両開きの窓を開ければ、赤瓦の屋根と教会の尖塔が見える。時報替わりの鐘が鳴なり、ハトがクウクウ鳴いている。
多分、スルーしてもいい街かもしれない。でもわたしは好きだ。次のパンプローナへのバスが早朝に1日1便しかないので、2泊してしまったが、だから1日で街の観光としては十分なのだが、でも気持ちが落ち着く。いい街だと思う。巡礼ルートなので巡礼の人もいるのだろうが、それよりは周辺のトレッキングを楽しむ、ストックを持っている人が目立つ。街には登山具を扱う店も多い。
交通の要衝にあり、それゆえ戦場となることも多かった。函館の五稜郭と同じ星型の要塞が今も残っている。こちらは15世紀のものだ。ほとんどは復元されたものだが、まだ当時の石積みも残っている。城壁の上に立てばピレネーの山塊がまじかに望める。空気はきりりと澄み渡り気持ちいい。
帰るときに窓口の女性に、函館の五稜郭の写真を見せた。スペインのハカと日本の函館。距離も時代も隔たってはいるが、なにかが通じ合えた一瞬であった。