ぶどうの収穫は、年に3回!!! バリ島のワインのヴィンテージって?

ワインに呼ばれてる感がある。ハッテンワインの本店は、偶然選んだホテルから、わずか徒歩10分のところにあった。

ハッテンワインのセラードア バリらしくないモダンなビル
ハッテンワインのセラードア バリらしくないモダンなビル

天井が高く、コンクリート打ちっぱなしのモダンな店内。対応してくれたのは、Indra  君。インドネシアソムリエ協会(イスラム教の国とはいえ、こういう協会が存在するんだね)の会員で、WSETはまだ勉強中の青年です。

 

ソムリエの卵、インドラ君が案内してくれました。
ソムリエの卵、インドラ君が案内してくれました。

全アイテムを試飲したのだが、カテゴリーは大きく二つに分かれてる。

ひとつは、バリ島の自社畑で作った地ブドウ100%使用のバリ産ワイン。もう一つのラインは、「Two Island」というシリーズだが、オーストラリアから輸入したブドウ(つまりは、シラーズやシャルドネやらの国際品種です。冷凍果汁の状態で輸入)を使用してバリで醸造したものである。

 

 

 

まずは、地ブドウを使ったスパークリングが2種。どちらも、瓶内2次発酵をするシャンパンと同様のトラディショナル方式だそうだ。

“Tunjung Brut Sparkling”は、Brobollingo BiruとBelgiaいうブドウを使用。香りは控えめで、くせのないさわやかな味わいの品種というところ。メソッド・トラディショナルとはいえ、その期間は4カ月なのだそうだ。そりゃ、軽い味わいになるのもむべなるかな。同様に、ロゼスパークリングもあり、こちらはAlphonse Lavalleeというぶどう。味わいは、まぁお手頃スパークリングワイン以上のものではないかな。でも、セラーの写真では、ピュピートルがあり、ルミアージュもしているそうだ。ならその後、もう少し長く熟成期間を取ればいいのに、と思うのだが。

 

スティルワインは白がドライとセミドライの2種、赤とロゼの計4種類。

Aga Whiteがドライで、ブドウはBelgia種。軽くて味わいもほんのり柑橘系とミュスカっぽい香り。別の言い方をすると、かなり水っぽい、薄い。熱帯の気候でシャバっと飲むのに適しているのかも。Alexandria は、これのレイトハーヴェストでセミドライ。ほんのり甘口はスパイスの効いたバリ料理に合いそうだ。アレキサンドリアという名前になっているのは、Belgia種がマスカット・オブ・アレキサンドリアと近い品種だからだそうである。

続いて、ロゼ。これがハッテンワイナリーの第一号のワインだそうである。ブドウ品種はAlphonse Lavalle. オーナー曰く、スペインの土着品種が宣教師とともに持ち込まれ島に根付いたと話していたが、資料を探すと、19世紀半ばにフランス人が持ち込んだもので、のちにフランス人の学者Alphonse Lavalleeの名前が付けられた。ヴィティス・ヴィニフェラではあるのだが、食用ブドウとして長く食べられていた。赤は、ライトボディでオークフレイバーが少し感じられる。といってもステンレスタンク醸造で、木片を入れて香りづけをしている。

  (Hpから写真を拝借)

さて、なんといってもワインは畑を見ないことには始まらないと考えているのだけれど、畑は島の北部シンガラジャにあり、クルマをチャーターして2時間以上かかるというので、今回はあきらめ。ただ、ビデオで様子を見ることができる。

それによれば、栽培は日本同様、ブドウ棚造りで、1本の幹から長く枝が四方に伸びていて、幹と幹の間隔は2mくらい。日本の生食用のブドウ棚に似ている。ブドウの粒も大きめ。

 

試飲の印象としては、全体に水っぽい。テイスティングノートには、マンゴ、パパイヤ、スターフルーツ、グァバと南洋らしいフルーツが出てくるが、キャラクター云々以前に、香りや味わいが少ない。とはいえ、熱帯の気候では氷を入れて飲むという手もあるくらいだから、これもありかもしれない。

なんといっても、その土地で飲む酒はその土地でできたものがいちばん。滞在中、一度は味わってみたいものである。

 

オーストラリアのブドウとバリの醸造というTwo Islandシリーズ
オーストラリアのブドウとバリの醸造というTwo Islandシリーズ

ところで、もう一つのラインTwo Islandは2001年に100回目のヴィンテージを記念してスタートしたとパンフレットにある。

10回のミスプリントじゃないか、と思った。

だけど、ちょっと待て。

バリは、年に3回の収穫が可能なんだそうだ。(コメ作りも年3回。三期作だ)。

創業が1968年だから、2001年には33年過ぎており、×3で、100回と主張することは可能。

いやはや、年に1度のチャンスに試行錯誤を重ね、1代では終わらず、世代を繋いで技術を継承していき、日々の研鑽と苦行の末、現在のワインの基礎を作り上げていった中世の修道僧たちよ。バリ島ではその3倍の速さでデータが積み上がるのだ。

 

ワインメーカーは、初代がフランス人、現在はオーストラリア出身のJames Kalleske  氏が、バロッサバレーのグラント・バージを皮切りにマーガレットリバーのいくつかのワイナリーをへて2012年より、醸造責任者を務めている。

2017年にはアジアの最優秀ワイナリーにも選ばれた。

ローカル品種以外にも栽培を研究しているそうだ。その名の通りいまはまだ、ハッテン途上かもしれないが、今後が大いに楽しみである。

IMG_3349
2階には、キッチン付きの広々としたテイスティングルームも。

 

ピノデシャラントの製法で作る酒精強化の甘口ワインPino de Bali フレンチの樽で5年熟成。おいしいです。