アルベロベッロとブルゴーニュ

 

アルベロベッロに向かう車窓に、円錐形のとんがり屋根の小屋が見えてきた。畑の中にぽつり、またぽつり。

写真で何度も見たとんがり屋根の小人の家のような造りは、アルベロベッロに集中してはいるがそこだけにある特異な現象ではなく、数十キロ圏のこの地方全体での伝統的な造りなのだ。

アルベロベッロでも、とくにトゥルッリが集まるエリア。
アルベロベッロでも、とくにトゥルッリが集まるエリア。

 

それよりも、目を引いたのが、白い石をびっしりと積み上げて作られている畑の囲い。瞬時に、あ、ブルゴーニュみたい、と思った。(畑の石垣の写真をまったく撮っていなかった。反省)

 

ブルゴーニュのブドウ畑では、こういう石の囲いをClosクロと呼ぶ。畑の境界を示すものであるが(有名なクロ・ド・ブージョとかね)、わたしは、地面を掘ればざくざく出てくる石灰岩は、畑を作るには邪魔であり、それを上手に処分(活用?)する方法だと思っている。同様に、その石を使って小さな作業小屋も作られる。

デザインが異なるだけで、発想は同じではないか?

 

アルベロベッロでも、とくにトゥルッリが集まるエリア。
アルベロベッロでも、とくにトゥルッリが集まるエリア。

観光客であふれかえり、かなり興ざめのアルベロベッロであったが、トゥルッロの博物館に入ったところ、この地方の地質の解説があり、石灰岩だとか、ジュラ紀だと、海の生物の堆積物だとか、の単語が聞き取れた。

え、これってブルゴーニュと同じじゃないか。同時期の地層の地域だったんだね、このあたりは。風景を見た時の印象が間違っていなかったことが裏付けられて、すごく納得。

 

通りは観光客であふれていた
通りは観光客であふれていた

 

昔ながらの石積みがよくみえている。
昔ながらの石積みがよくみえている。

実は、アルベロベッロには、たいした関心もなく、いちおう行っとこうか、くらいで訪れたのだが、とんがり屋根のおとぎの国のようなフォトジェニックな街並みにはあまり反応せず、周辺の畑の風景が記憶に残る。

まさか、南イタリアの小さな村がブルゴーニュとつながっていたとは。ただ、ぶどう畑も少しはあったけれど、気候の違いと有力者がいなかったせいか、残念ながらいいワインには恵まれていない。