クヴェブリのワイン

ジョージア(旧グルジア)はいま現在世界最古のワイン産地として認定されている。その起源は8000年前にさかのぼる。歴史好きの私としてはそれだけで心惹かれる。

さらに、クヴェブリという、人がすっぽり入ってしまうような巨大な甕を地中に埋め、ブドウを放り込んで発酵熟成させるという古代製法がいまもなお続けられており、世界遺産にも登録された。独特の地域文化が大好きなわたしとしてはますますジョージアワインに関心が強くなる。

そんなジョージアワインばかりを集めた試飲会に足を運んだ。集まったのは10数社のインポーター。クヴェブリ製法で作られたワインに絞り込んで試飲していった。

ところが・・・・。

あれぇ、以前飲んだ印象では白ワインながらタンニンがあり、骨格もしっかりしていてジョージアワインって思ってたよりレベル高い、と感じていたので、楽しみにしていたのだが。

確かに色はオレンジがかっているが、水っぽかったり、酸化してたり、雑菌が混じったような雑味が感じられたり、これはワインとして売っちゃいかんだろう、というレベルのものまで。

どうやら、クヴェブリといっても「ステンレス発酵、クヴェブリで6か月熟成」などというちょっとだけクヴェブリという使ってます、というものも同様のワインとしてくくられているようだ。

そもそもは「古代より続く伝統的製法」であるはずが、「新樽30%、フレンチオークとアメリカンオークを半々」というような樽をどの程度使うかという醸造テクニックとしてのジャンルになってきているのだ。クヴェブリは容器の名称でもあり、製法でもあり、その辺りの用語の用法が明確になっていないのが問題か。

以前、現地の生産者に聞いたところでは、たいへん面倒な作り方なので、ジョージア全体でもクヴェブリで造られたワインは全体の1割程度だそうだ。とするなら、日本でこれほど多数紹介されているワインはいったい・・・。

この辺りで、きちんと規定を明確にしておかないと、世界最古という栄誉に傷がつくのでは。少々がっかりの試飲会であった。